Takasawa Keiichi (高沢圭一)による浮世絵「Kiss — くちづけ」

Takasawa Keiichi (高沢圭一)による浮世絵「Kiss — くちづけ」

作者:Takasawa Keiichi (高沢圭一)

作品名:Kiss — くちづけ

制作年:Not set

詳細:詳細情報...

情報源:Japanese Art Open Database
浮世絵(全 17,130 件)を表示...

説明:

Wednesday, 20 July 2005 高沢圭一 油彩画10号「くちづけ」婦人公論表紙 しなやかな肢体の妖艶な美人画を描き、『婦人公論』の表紙などで広く親しまれた高沢圭一。1914年(大正3年)群馬県出身の画伯は、'36年日本大学芸術学部を中退し、翌年陸軍上海報道部に勤務して戦争画を描きました。'39年聖戦美術展に出品した「突破路」で朝日新聞社賞を受賞、帰国していた藤田嗣治の目に留まり師事することになりました。戦後は、小説や童話などの挿絵を描く傍ら、一貫して美人画を描き続け、全国各地で個展を開催しました。また、引き続き藤田と親交を重ねて指導を仰ぎましたが、師のたびたびの渡仏の誘いを断り再会を果たせず、弔問で訪れたことが契機で、パリ画壇に紹介されました。そして'74年に、著名なヴァンドーム画廊で開催した個展で絶賛され、その翌年には、フランス国際公募展でル・サロン賞を受賞しました。'75年から'82年までの間は、『婦人公論』の表紙絵を担当して大衆に支持され、銀座美術館にて毎年開催された個展で絶大な人気を誇りました。さらに、自由奔放な人柄で人脈の広かった画伯は、本田宗一郎と交流して、初期のオートバイのデザインを手掛けるなど多方面で活躍しました。その白磁の肌を持つ婦人像は、研ぎ澄まされた東洋的な美観を備え、悩ましくも妖艶なエロティシズムをふりまき、ジャンルを超えて多くの人々を虜にしました。作品は東京国立近代美術館などに収蔵されています。 くちづけを交わそうとしている二人の女は、雪の化身の如く謎めいた美しさで、妖しい色香を漂わせています。瞳を閉じて身体を絡めあうように抱き合う女たちは、しなやかなで華奢な体付き故に一体化したような錯覚を起こさせ、めくるめくような官能性が増しています。白い肌の上に置かれた艶やかな赤い唇と淡いピンクの爪、それらが女らしさを強調し、細部にまで神経を研ぎ澄ませて制作されていることが窺えます。細やかな描線を活かす画面は、幾重にも塗られた下地をカミソリで削り取り、目の細かいサンドペーパーで磨き上げることで、滑らかなマチエールが作り出されています。実在のモデルを殆ど使うことがなかった高沢圭一は、限りなく理想に近い肢体を追い求め、風俗画の領域を越えた妖艶な美人画を作り出すことに成功しました。美に対する執拗な探究心から生まれた、芸術とエロスを一体化させた独自の世界は、息を呑むほどの女性美を洗練された筆致で高らかに謳いあげています。画家が渇望した細身の女体は、虚像であるが故に欠点がなく、現在でも多くの洋画ファンを魅了し続けています。『婦人公論』の表紙絵の原画となったこの作品は、高沢の画境が円熟を迎えた晩年の傑作で、今後ますます貴重になるに違いありません。東京国立近代美術館館長の安達健二が絶賛した画家であり、将来の再評価も期待できますので、コレクターの方はお見逃しなきようご注目ください。 画面サイズ:F10号、額装サイズ:71cm×63.5cm。画面右下にサイン、裏板に共シールが有ります。作品の状態は良好、額装の状態は細かいキズを除き大体良好、タトウ箱付きです。晩年の美術年鑑評価額 18.3万円(油彩画1号あたり、10号=183万円)、渡辺武夫、成井弘らと同等の評価でした。正式なタイトルは「白い蝶のくちづけ」です。 この作品が表紙を飾っている、1982年12月に刊行された『婦人公論』をお付け致します。 画歴 高沢圭一 (たかさわ けいいち) 1914年 群馬県出身 1936年 日本大学技術学科中退 1937年 陸軍上海報道部勤務 1939年 聖戦美術展朝日新聞社賞受賞 藤田嗣治に師事 1945年 小説の挿絵を担当 以降、各地で多数の個展を開催 1974年 個展開催(パリ/ヴァンドーム画廊) 個展開催(銀座美術館、以降毎年開催) 1975年 「紅」でル・サロン賞受賞 『婦人公論』の表紙絵を担当 (〜82年) 1977年 「高沢圭一画集」刊行(大日本絵画) 1982年 日本随筆家協会賞受賞 1983年 白薔薇園別冊「高沢圭一エロスの世界」(大塚カラー出版) 1984年 「高沢圭一自撰作品集」刊行(あすか書房) 没(享年69歳) 所蔵/東京国立近代美術館、他

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